2014年1月8日水曜日

二枚目の名刺

シリーズ未来をひらく1 
“二枚目の名刺”が革新を生む

視聴率 8.4%
株式会社ビデオリサーチ世帯視聴率(関東地区)
 
08:55
放送の一部をご覧いただけます。
 
出演者箭内 道彦 さん(クリエイター)米倉 誠一郎 さん(一橋大学教授)
2014年―― 様々な課題に直面し、閉塞感漂う日本の活路をいかに切り開くのか。キーワードは、従来の組織や地域の枠組みを超えた、新しい「つながり」。新年最初のクローズアップ現代は、人と人がつながることで生まれる革新的な動きを通して、その可能性を2夜連続で探る。1夜目は、別々の会社に勤めながら、IT技術などを駆使してつながった若い感性が創造するイノベーションを取り上げる。彼らが提唱するのは“二枚目の名刺”を持つことが新たな生きがい、豊かさにつながるという働き方だ。一方、これまで就業規則で社員を縛り、副業を禁止してきた企業側にも、“二枚目の名刺”を推奨することで社内の活性化を図ろうという動きが出始めている。自由で闊達なイノベーションを、今の日本でどう生み出していくのか。従来の常識を打ち破る企業と社員の新たな「つながり」から考える。



(オープニング)
オープニング

アメリカ・サンフランシスコで街ゆく人の注目を浴びる乗り物、開発したのは日本人だった。

未来をひらく1 組織を越えた変革“二枚目の名刺”のすすめ
未来をひらく イノベーション

世界的な技術コンテストで高い評価を受けたハイテク義手。違う会社に務める若いエンジニアが集まって製作したことが大きなカギだった。

未来をひらく1 組織を越えた変革“二枚目の名刺”のすすめ
“二枚目の名刺”が革新を生む

先月行われた技術コンテストで第2位に選ばれた筋電義手を製作したのは日本の若手技術者3人。職場とは別に”2枚目の名刺”を持つスタイルがこれまでにないモノづくりを実現している。技術者の1人の近藤さんは昼間は大手電気メーカーに勤め午後9時に帰宅、義手の開発は会社から帰宅した夜始まり、打ち合わせはビデオチャットで行う。大企業でなくても高性能の義手を作れたのは大企業の技術が個人でも手軽に使えるようになったことが大きい。近藤さんは「会社ではビジネス的な術を学び、2枚目の名刺で自分の造りたいものを作る、10年以内には起業したい」と話す。
先月行われた2枚目の名刺を持った人が集まるパーティーでは色々なアイデアが披露された。アメリカ・サンフランシスコで日本の技術者が集まって製作した車いす。開発会社のCEO杉江さんは興味本位で車いすを製作するも自分の勤めていた会社でビジネスにする手立てがなく、1年前会社をやめ渡米、175万ドルの投資を得て企業した。
サンフランシスコ(アメリカ)

未来をひらく1 組織を越えた変革“二枚目の名刺”のすすめ
“二枚目の名刺”が革新を生む

スタジオトーク。箭内道彦さんは2枚目の名刺はライフワークだと思う、楽しんでいることが脅威だと思うと話した。米倉誠一郎さんは本来1枚目の名刺でやりたいことが世界中でできていない、社内ベンチャーもいいのではないかと話した。

未来をひらく1 組織を越えた変革“二枚目の名刺”のすすめ
社員を開放して新市場開拓

静岡にある子ども専門の歯科医院。虫歯の予防に重点を置いた新しい会社で、大手の広告会社と地元の歯科医が手を組んで生まれた。ある大手広告会社は社内ベンチャー制度を作りあえて会社にしばりつけないことで新規事業の開拓につなげるチャンスをつくっている。スタートから4年がたち既に9つの会社が新しく誕生している。

未来をひらく1 組織を越えた変革“二枚目の名刺”のすすめ
組織をどう変え 革新を生み出すか

スタジオトーク。箭内道彦さんは番組で紹介した大手広告会社からベンチャー制度を使い独立。失敗したら戻ってこれる制度は良いと思うと話した。米倉誠一郎さんは社内ベンチャーは会社がベンチャーキャピタルになると思えば良いこと、大手会社において最大の資源は人なのでどんどん外に出していったほうが有効利用になると話した。


仕事広げる「2枚目の名刺」仲間募って企業の垣根越えた発想が生み出す新ビジネス




   舗装路はもちろん、これまで車いすには苦手とされた砂利道もスイスイと進む新型の車いすがある。この車いす、企業の垣根を越えたIT技術などを駆使してつながった若い感性が合流して生み出したものだ。キャスターの国谷裕子は「新興国の躍進により日本やアメリカなど先進国は追い上げられ、これまでの企業による新規事業開発もそのリスクが変化しつつあります。閉塞感漂う日本の活路をいかに切り開くのか。キーワードは、従来の組織や地域の枠組みを超えた新しいつながり。人と人がつながることで生まれる革新的な動きで、そのヒントは二枚目の名刺。本業とは違う自分の名刺を持つことが、新しい豊かさにつながるという働き方が始まっています」と説明した。

砂利道もスイスイ走れる車いす―家電メーカーエンジニアがチャット通じて開発

   これまでにない車いすを開発した近藤源太の本職は家電メーカーのエンジニアだ。夜9時過ぎに帰宅すると、パソコンのビデオチャットを使って開発仲間と打ち合わせをする。新しい義手開発のアイディアを相談すると、1時間もかからず3Dで描かれた設計図の返信が来た。
   ゲストの米倉誠一郎・一橋大学教授は「企業はより付加価値の高い製品の開発を模索しています。でも、現場のエンジニアには自分たちが作りたいものを作らせてもらえないという厳しい現実があります。それで、若手エンジニアたちは2枚目の名刺を使い、仲間を募って、自分のスキルやノウハウを持ちよって、新しい何かを作り出そうとしているわけです」と話す。

手間・ひま惜しまぬイノベーション―カギは企業が我慢できるか

   国谷「なぜ企業はこれまで社員に対して柔軟な対応ができなかったのでしょうか」とクリエーターの箭内道彦に聞く。「たしかに、大手企業はこれまでベンチャービジネスを育成しようとしてきました。しかし、社員が求められたのは不退転の決意で、企業の縛りもいろいろありました。これでは自分の発想でビジネスを始めるのは難しい。企業の垣根を越えたイノベーションを作り出すというのは難しい状況にありました」という。
   米倉「ある著名なケーキ職人と話をしたとき、彼はどんなに美味しいケーキを作ってもホームメイドのケーキには負けるというんですね。理由はホームメイドは時間や材料をたっぷりかけ、食べる人の好みも知っているからだと。イノベーションも時間と手間・ひまを惜しまないことがカギになると思います」


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