2014年2月20日木曜日

よそ者には来てほしくない。地域を荒らされたくない

農家さん、よそ者は嫌ですか

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1203X_S4A210C1000000/

 人を呼び込む方法として「地産来消」の話や消費者と産地をつなぐ各地の取り組み事例を紹介したのですが、ある農家の方から思わぬ発言が……。「よそ者には来てほしくない。地域を荒らされたくない」とのことでした。
 はっきり言われたのには驚きましたが、実はこの意見は、岩手県に限らず日本の多くの農家の本音なんだろうと思います。その土地に愛着持って、地域みんなで支え合って、これまでやってきたのですから「顔見知りなら気にしないが、知らないヤツが農道に泥を落としていくのは我慢ならない」という感情は理解できます。
 人がいなくなるのは困る。都会に出ていった息子や娘、地元出身者が戻ってきてくれたらうれしいが期待薄だ。積極的によそ者を受け入れないと現状維持もおぼつかない。頭では分かっているが、気持ちがついていかない……。どうしたらいいのでしょうか。
 色々考えてみたのですが、知らない人→近くに住む(農業参入)のが嫌なのであって、知らない人→知っている人になる→近くに住む……なら、すんなり受け入れられるのではないでしょうか。よそ者を顔見知りに変える仕掛けが必要です。


 農業への「就職」のハードルを下げる手段として農業法人が使えると思います。この言葉については「大企業に我々の土地が荒らされる」とのイメージを持つ農家の方が少なくないのですが、必ずしも大資本が必要なわけではなくて、地域単位やご近所数軒の農家で法人を設立してもいいのです(専門的には株式会社の農業生産法人になります。農事組合法人という形式もありますが、構成員が現役の農家の方になりますので外部人材の呼び込みには不向きです)。
 地域で会社を作って、株式会社○○村で求人する。一般企業の採用活動のように都市部で就職セミナーを開き、エントリーシートを受け付けて、面接をする。新入社員はOJT(職場内訓練、つまり各農家への住み込み)で育てる。生産技術を身につけ一人前になったら、関係会社として独立(のれん分け)してもらう。実際、既に、野菜くらぶ(群馬県昭和村)、トップリバー(長野県御代田町)など、そのように対応しているトップランナーたちがいます。
 あなたの会社に入社した若者は「よそ者」でしょうか。最初はそう思っても、すぐに「かわいい部下」になり、いずれ「頼りになる同僚」になり、最後には「土地を託せる後継者」になるかもしれません。
 そりが合わなかったら、隣の農家への異動や隣村の別会社への転職もアリ。滅私奉公より、このぐらいの緩さのほうが労使双方とも気が楽でしょう。さらに途中退社だって、地元に残って別の職業に就くのなら歓迎すべきこと。地方の人口流出に歯止めをかける基盤になるのは農業。地域間、世代間の交流促進が新たな価値を創造していくことも期待できて、一挙両得です。


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