制約を身につける
「ここまでは得意ですが、ここから先はできません」という制約を持つ人が得意分野に熟達すると、その人は専門家と呼ばれるようになる。
「得意不得意こそありますが、私は基本的になんでもやります」という人が全方向に頑張ると、その人は「熟達した使い走り」になってしまう。
制約は知恵を引き出す
たとえば300文字程度の考えを文章化しようと思ったときに、Twitter はいい道具になる。簡単なサービスだからすぐに書けるし、つながった誰かの反応をもらうこともできる。何よりもTwiter には「140文字しか書けない」という制約があって、アイデアを文章化するときには、こうした制約が役に立つ。
アイデアを文章化するのに必要なのが300字なら、Twitter ではそれを2回に分けて書く必要がある。ベタ打ちしたアイデアを途中できるのはみっともないから、思いついた何かは必然的に、140字で語れるだけの大きさに分割されることになる。それぞれのつぶやきは、つぶやき単独でも読めるように配慮する必要があるし、つぶやき2回では300文字には少し足りないから、余計な形容詞は削り、曖昧な語尾は断言に置き換えられることになる。文字数の物理的な制約は、結果として漠然としたアイデアを読みやすい文章に変換する役に立つ。
明示的な制約は不便だけれど、制約に対峙した人は、自由な状況よりも知恵を引き出されることになる。俳句やお弁当箱の制約は世界的なものになったし、軽自動車の規格みたいなものもまた、それが世界に通用するのかどうかはさておき、規格をどうにか活用するために、日本の自動車メーカーは様々な工夫を生み出した。